みなさん、こんにちは。
10日の本番まで1週間を切り、お寺でもいよいよ施食会の準備が本格的に始まりました。
今日は連載3回目ということで、施食会で使用する仏具をいくつかご紹介したいと思います。
①施食棚(せじきだな)
施食会で使用される仏具の中で一番大きなものが施食棚です。
ちょうど本尊様と向かい合うように、施食棚は正面入り口に近い外側に設置されますが、その理由は外からやってくる餓鬼たちが集まりやすいようにするためです。
なので、普段の法事では本尊様がいらっしゃる須弥壇(しゅみだん)の方を向いて読経を行いますが、この施食会だけは施食棚の方を向いて読経を行います。
※お寺によっては本当に外に施食棚を出している場所もあります。
施食棚の上には様々なものが置かれます。
前回お話しした「三界万霊」の位牌(とっても大きい!)や戦災や疫病といった予想できない理由で亡くなられた方々の位牌、檀信徒各家のご先祖様の位牌、さらには去年の施食会以降亡くなられた方々の白木位牌もお祀りします。お墓に納骨をされた際、当寺では白木位牌をお預かりしておりますが、それはこの施食会の時に供養するためです。
また、この写真ではまだありませんが、当日はご霊膳、浄飯(ご飯を山盛りにお供えしたもの)、生菜(生野菜や果物など)や干菜(干し椎茸や昆布、乾麺といったもの)、水の子(洗ったお米と細かく刻んだきゅうりとナスを混ぜ合わせたもの)、お茶、蜜湯(蜂蜜や砂糖で溶かしたお湯)、お菓子、お水など、餓鬼たちに施すための食べ物や飲み物をたくさんお供えします。
お参りされた方がご寄付くださった御供物などもお供えすることもあります。
②鼓鈸(くはつ)
施食会では様々な鳴らしもの(鐘や木魚といった仏具)が使用されますが、その中でも施食会ならではの仏具がこの鼓鈸です。
写真のように3つあり、右から引磬(いんきん)、平太鼓(ひらだいこ)、鐃鈸(にょうはつ)があります。(厳密には平太鼓と鐃鈸だけを鼓鈸と呼びます)
引磬は名前の通り法要の導師を先導し引き連れるためのもので、施食会以外でもよく見かける仏具です。施食会では他の仏具を先導するために使用されます。
平太鼓はよく知られている宮太鼓と比べて薄くて小さいもので、手の平に載せて叩く太鼓です。写真でわかるように長年使っているためか、龍の絵柄がだいぶはげてきています。
鐃鈸はシンバルのように両手で持って互いにすり合わせることで音を鳴らします。私にとってこの鐃鈸は一番力加減が難しい仏具で、力いっぱいやりすぎてお子さんに泣かれた経験があります。
それぞれ「チン」「ポン」「ジャラン」となることから、僧侶の世界ではこの鼓鈸のことを、単に「チンポンジャラン」と呼んだりしています。
施食会の最初と最後に鳴らされるこの鼓鈸ですが、その大きな音を初めて耳にした方は驚かれるかもしれません。
よく曹洞宗の法要は賑やかだと言われますが、その代表格がこの鼓鈸です。
施食会でこの鼓鈸が鳴らされる理由は、施食会に集まってきた餓鬼たちや御先祖さまをお迎えし、そして最後はまた元の世界へお送りするためです。
実は葬儀の際にも鼓鈸が同じような理由で使用されます。それは亡くなられた方を火葬場にお送りするため、そして仏様の世界へお送りするために鳴らされているのです。かつては「野辺送り」と言って、鼓鈸を鳴らしながら火葬場まで歩いて向かうという風習の名残です。
他にも様々な仏具や飾り物がありますが、それはまた来年の施食会でご紹介したいと思います。
以上、施食会について3回に続けてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
仏教やお寺と聞くと、どこか小難しくとっつきにくいイメージがあるかと思いますが、そんなことはないのです。
お釈迦様が誕生した2500年からという長い歴史の中で、時代や地域によって変わりながらも今日まで続いている仏教だからこその面白さというものがあります。
少しずつではありますが 、是非この機会に仏教へご興味をもっていただければ何より嬉しいです。
来週10日はいよいよオンライン施食会本番です。
当日ライブ配信でお会いできること、心よりお待ちしております。
#施食会#仏具#知ると面白い仏教
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