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  • 執筆者の写真田中寺 龍谷山

施食会について ②目的

更新日:2020年9月21日


みなさん、こんにちは。

先日お寺の境内にスズメの親子がおりました。

どうやら門前の松の上で巣を作っていたようです。

子供がなかなか飛び立てないようで地面でうずくまっていましたが、

なんとか飛ぶことができました。


さて、前回より施食会についてお話しを進めてきました。

今回は施食会でなぜ先祖供養が行われているか、その目的についてお話しします。


前回の記事でもお伝えしたように、この施食会で供養する対象は主に餓鬼たちです。

それはお経の内容をみてもわかることです。


例えば、施食会で一番中心となるお経が『甘露門(かんろもん)』と呼ばれるものですが、

その中でお唱えしている陀羅尼(だらに、秘密の呪文)の題名が次のようになっています。

題名の右側には私なりの解釈を載せてみました。


「雲集鬼神招請陀羅尼」・・・餓鬼たちを集める呪文

「破地獄門開咽喉陀羅尼」・・・貪りの心から離れさせ、食べ物が喉に通るようにする呪文

「無量威徳自在光明加持飲食陀羅尼」・・・供養された食べ物を無限大に増やす呪文(ドラえもんの「バイバイン」という道具を思い出します)

「蒙甘露法味陀羅尼」・・・供養された食べ物を甘露のもの(つまり美味しく栄養のあるも

の)にする呪文

などなど・・・・


これらは一部ではありますが、施食会で繰り返しお唱えしています。

とても長い題名で難しそうと思われるかもしれませんが、その意味は至ってわかりやすいものだと思います。

つまり施食会を開催するにあたっては、まずは餓鬼たちを集め、彼らが食べやすいように工夫をこらし、そして食べ物を無限大に増やして美味しくするなど、あくまでも餓鬼たちに食事を満足に施すための準備を施食会中にお唱えしているのです。

ちなみに陀羅尼は秘密の呪文ですので、一見聞いたところでは全く意味がわからないと思います。

例えば、「雲集鬼神招請陀羅尼」では「曩謨歩布哩 迦哩多哩怛他蘖多也(のうぼーぼほりぎゃりたりたたーぎゃたや)」とお唱えします。


他のお経と比べるとよくわかりますが、例えば『般若心経』では「色即是空 空即是色」などと、漢字としての意味はなんとなく通じるかと思います。

しかし陀羅尼では、その「意味」よりも「言葉の音」そのものに功徳があると信じられており、人によっては無闇に解釈することはよくないという方もいらっしゃいます。

なので、陀羅尼は呪文のままお唱えをしております。


少し話が脱線しました。

ではなぜ施食会で先祖供養するようになったかと申しますと、それは「お盆」との関係です。


お盆といえば8月のお盆(東京は7月)のことですが、元々は「盂蘭盆(うらぼん)」という仏教の言葉からきています。

この盂蘭盆では御先祖様をお迎えをする行事として各家に精霊棚を設けたり、迎え火や送り火をつけたりすることで知られています。


実はこの盂蘭盆と施食会は由来が別々の経典から成立した法要だったのですが、後世になって融合しました。

現在では盂蘭盆大施食会」と呼ばれるように同一視され施食会で先祖供養がなされるようになったのです。


しかし、餓鬼たちへの施しと先祖供養は一見関係がないものと思われるかもしれませんが、実は同時にやることには大きな意味があります。

その根底にはお釈迦様の「衆生済度(しゅじょうさいど、全ての存在を救うこと)」という考え方があるからです。


どんな法要の中でも、最後に「回向(えこう)」という作業を必ず行います。

これは「回し向ける」という言葉通り、「お唱えしたお経の功徳を自分ではなく、他の誰かに回す」という意味です。

もし読経だけであれば、それは自分の功徳にしかなりません。誰かを供養するためには回向しないといけないのです。

つまり、読経をすることで得た功徳ポイントを御先祖様や大切な人へ廻し向けることができるのです。


施食会においても同様です。

施食会では基本的に餓鬼たちへの供養を主に行っていますが、最後の最後で「回向偈(えこうげ)」というものをお唱えして、回向します。


「以此修行衆善根 報答父母劬労徳 存者福楽寿無窮 亡者離苦生安養

 四恩三有諸含識 三途八難苦衆生 倶蒙悔過洗瑕疵 尽出輪回生浄土」


私なりに訳しますと、

「今日行った修行、つまり餓鬼たちへ施しを行ったことにより、父母への恩に報いてほしい。また生きている者へは幸福をもたらし、亡くなった方へは苦しみを取り去り代わりに安心を与えてほしい。さらには苦しみの中にいる、ありとあらゆるすべての存在が共に犯した罪を洗い流し、この輪廻から抜け出して浄土へと生まれ変わりますように」

という意味になります。

餓鬼たちに施すということで、父母といった御先祖様だけでなく、生者死者あらゆる存在関係なく救って欲しいと願っているのです。

施食会においてはありとあらゆる存在への供養も同時に行われていて、特定の誰かのための法要では決してないのです。

その証拠に、施食会中に本堂の真ん中に置いてある棚(施食棚)の一番上には、「三界万霊(この世の全ての精霊)」と書かれたとても大きなお位牌が祀られています。

右側にある位牌は通常サイズのものです。その大きさは一目瞭然です。


以上、少し長くなりましたが、今回は施食会と先祖供養の関係についてお話ししました。

目には見えないけれども、きっとそこに集まっているであろう餓鬼たちへの施し、そして同時に、世界中さらには宇宙全ての幸せを願おうとするこの施食会という法要は、とても素敵だなと私は思っています。


次回は施食会で使う仏具等をご紹介していきたいと思います。

今回はお盆について少しだけ触れましたが、また別の機会に詳しくお話ししたいと思います。


※地域やお寺の規模によって法要の形が変わります。例えば、当寺の施食会では回向偈の代わりに「普回向(ふえこう)」というものを最後にお唱えします。

「願わくはこの功徳をもって普く一切に及ぼし、我らと衆生と皆共に仏道を成ぜんことを」

これはよく使われる回向として知られています。ありとあらゆる存在への供養を意味するため、回向偈と同じ意味であることは分かるかと思います。

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